滝野川ブルーウィングス 豊田監督に訊く①理想のチームの作り方

query_builder 2020/12/11
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滝野川ブルーウィングスのページへようこそ。ここではインタビューを中心に、選手や関係者の胸の内にせまっていきます。第1回は、豊田毅監督のインタビューです。


年齢や球歴に関係なく野球を楽しめるチーム


滝野川ブルーウィングスの特徴を聞くと、「年齢、球歴に関わらずみんなが楽しく野球をできています。」と答えが返ってきた。確かに、ブルーウィングスの練習を見ていると35歳の豊田や30代のスタッフとともに、高校生や大学生、さらには小学生も混ざっている。


怪訝(けげん)な顔を見せる選手は、1人もいない。


選手の球歴もざまざま。初心者や少年野球までの選手もいれば、大学の軟式野球部で活躍する選手や、国内外の独立リーグに挑戦する選手もいる。さまざまなバックグラウンドを持つ選手たちが、「野球を上手くなりたい」という共通の志で通い合う。球歴のある選手は、アドバイスを惜しまない。


そうした雰囲気のよさが生まれる要因が、豊田の人間性に垣間見える。


選手の笑顔を見るのが好き


滝野川ブルーウィングスは「打って勝つチーム」を目指している。豊田自身、「打撃には相当なこだわりがある」という。しかし、それだけが打って勝つチームを目指す理由ではない。


「打撃って、楽しいんですよね。ヒットやホームランを打ったら、バッターだけじゃなくベンチもみんながニコニコする。選手も打率が上がったって話をしている方がキラキラしている。選手の笑顔を見るのが好きなんですよね。」


打って勝つチームを目指す理由を聞かれると、嬉しそうに答えてくれた。


「ニコニコしているチームは、いつか絶対に強くなる。だから、いつもニコニコするためには常に打ち続ける必要がある。だから、打撃のチームを目指しています。」


普段はやさしい語り口の豊田も、この時ばかりは言葉に力がこもった。選手の笑顔を見るため、監督として勝利への妥協を許さない。


真の勝利至上主義とは

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笑顔で楽しく野球をすることをモットーにする滝野川ブルーウィングス。そのルーツには、豊田の高校時代の経験がある。


「当時は管理的な野球でしたね。それは自分たちだけじゃなくて、日本中の高校がそういう感じでした。勝利至上主義の命題のもとに、選手が個性を犠牲にするのが嫌いでした。」


野球においてもっとも重要なのは、チームの勝利であることは言うまでもない。高校野球でも、選手が涙を流すのはチームが負けた時だ。滝野川ブルーウィングスの選手も、負けた時は落ち込んでいる。


「ブルーウィングスって伸び伸びとしているけど、実は勝敗にもものすごくこだわっているんですよ。でも、楽しみながら強くなれるだろうって常に思っています。勝利至上主義と過剰な厳しさは必ずしもつながりません。」


あくまでも、「楽しんで勝つ」という究極の理想を目指すのが、豊田の監督としてのスタイルである。


野球の“駆け込み寺”を作りたい


滝野川ブルーウィングスはなぜ誕生したのか。この問いに、豊田は次のように答えてくれた。


「私自身も高校野球の指導者をしていて、野球をやめる子って多いんですよ。高校野球って上下関係も厳しいし、故障もあります。でも、そういう子たちの受け皿が少ないんです。そういう子たちが高卒資格を取りながら、大学などその先の進路や野球人生を切り開けるようなものを作りたいと思いました。」


初めての生徒(当時高校生)が野球ライフコースに入ると、その生徒のためにと選手が集まった。これが滝野川ブルーウィングスの誕生である。この生徒は、大学に合格することができた。


豊田は、滝野川ブルーウィングスをさらに大きくする野望を抱く。


「現状では、『この後も野球を続けたいからここに来ました』というような切実な想いの子にはまだ出会えていません。そういう子は全国にたくさんいると思います。今いる子たちは近隣の子ばかりなので、もっと情報を発信したいですね。」


ゆくゆくは、全国から生徒を集めて甲子園を目指すチームを作りたいという。豊田は続ける。


「今は、ある種待ちの時期なのかなって思います。野球の“駆け込み寺”みたいなものにはなっていないのが、良くも悪くも誤算です。」


現在までに集まったメンバーで、雰囲気の良さを作ることはできた。この土台の上に、まだ見ぬ生徒が花を咲かせる瞬間を、豊田は待ち望んでいる。


☆豊田 毅(とよた・たけし) 1985年7月7日生まれ。2015年に英心高校(三重県)に野球部を創設し、指導者としてのキャリアをスタート。2017年には0-91の敗戦を喫し、話題となった。背番号が13なのは、西口文也投手(元西武)のファンだから。

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