祝!1部昇格決定! 秋季大会2部 準決勝
今回は11月24日におこなわれた秋季大会2部準決勝、国立印刷局戦の模様をお伝えします。
勝てば1部昇格決定、負けたら2部残留決定。間違いなく今年一番の重要な試合ですが、そこに立ちはだかるのは左腕の好投手。豊田監督も「ロースコアの接戦になる」との見立てで試合に臨みましたが、予想通りの投手戦になりました。
試合はブルーウィングスの先攻で開始します。するといきなり1番小瀬澤選手が四球で出塁。幸先のいい出だしとなります。
しかし、ここで相手投手の最大の武器が牙をむきます。この大会好調の2番似内選手に対し、2ボール2ストライクからの5球目に投じられたのは、ものすごく大きな落差のあるスライダー。この球で似内選手は空振り三振となってしまいます。続けて3番に入った豊田監督に対しても1ボール2ストライクからの4球目にスライダーが投じられ、こちらも空振り三振。4番の藤田選手は四球で出塁しますが、こちらも今大会好調の5番塚本選手は外角の直球で見逃し三振となり初回の攻撃が終了。アウトはすべて三振となり、重い試合展開を予感させます。
ブルーウィングスの先発は小笠原投手。今大会で絶対的な存在となっている右腕が、緊張感の中でマウンドに仁王立ちをします。
初回は2死から相手の3番打者に二塁打を浴びますが、続く4番打者を三塁への力ない飛球に仕留める危なげない立ち上がり。チームに安心感を与えます。
2回表は1死から7番の藤津選手が死球で出塁すると、2死となった後に9番の陽岡選手が初球の直球を捉え右翼前に落としチャンスを拡大。ここで前の試合2安打の1番小瀬澤選手に打席が回ります。しかし、フルカウントからの6球目の内角のスライダーを空振りしてしまい3アウト。この回は6番の木下選手と8番の立澤選手も三振を喫しており、ここまでのアウトはすべて三振となってしまいます。
しかし、相手の攻撃を小笠原投手がお返しと言わんばかりに3者連続三振に抑え、2回を終えて0-0。緊迫しながらも、徐々に小笠原投手が個人で試合を支配する展開ができあがっていきます。
3回表も先頭の似内選手が三振を取られ1死。しかし、続く豊田監督が死球で出塁すると、流れを打開すべくここで代走に戸口選手を起用します。この起用に戸口選手が応え、続く藤田選手の打席で2度の暴投の間に3塁まで進みます。どちらもスタートを切るには思い切りが必要な状況であり、“神走塁”で重要な役割を全うします。藤田選手は四球を選び1死1,3塁とすると、打席には塚本選手。外野フライが期待されるこの場面で、塚本選手は打線全体で苦しめられている相手投手のスライダーを見逃し、四球で繋ぎ満塁に。このチャンスで、前の試合で先制の二塁打を放っている木下選手が打席に入ります。しかし、ギアを上げた相手投手の前に3球三振で2死。ここでチームの期待を託されるのは、豊田監督が「チーム1の打撃技術」と評する藤津選手。期待を一身に背負い、2ストライクを取られながらも相手投手に食らいつくと6球目の直球を捉え打球はいい角度で左翼方向へ。しかしあと一伸びがなく、この回も無得点に終わります。
3回裏、4回表は互いに1安打ずつ放ちますが得点には至らず。すると4回裏に初めてのピンチが訪れます。
1死から相手の4番打者が放った打球は中堅の頭上への大飛球に。前の試合でも同様の打球を放っている強打者で、最も警戒していた相手に三塁打を浴びてしまいます。ここで続く5番打者に左翼の定位置のやや前への飛球を打たれます。これをこの回から左翼に入っていた鳩山選手が難なく捕球すると、タッチアップした走者を刺すべく本塁へ鋭く送球。難しいバウンドを捕手の藤田選手が捕球すると、落ち着いて相手走者にタッチし3アウト。鳩山選手、藤田選手の2つのファインプレーで失点を防ぎます。
ブルーウィングスに流れが生まれると、5回表に1死から藤田選手が死球で出塁。長打で一気に得点したい展開の中、打席には前の試合で特大本塁打を打っている塚本選手。2打席目に相手の投球に対応していたこともあり、この打席では初球をフルスイング。打球は高く上がり、アウトを覚悟しますがここで相手の右翼手が落球し1死1,2塁となります。ここで打席に入るのは“意外性の男”木下選手。ここまで2打席連続三振とタイミングが合っていないこともあり、初球と2球目はバントの構えを見せて相手を揺さぶり2ボールに。続く3球目を見逃すと、4球目は木下選手の好きな内角のやや低めへ。この球をしっかり弾き返すと、打球はベンチの歓声に乗り右翼の頭上を越える三塁打に。喉から手が出るほど欲しかった待望の先制点を叩き出したチーム屈指のムードメーカーの一打にベンチはお祭り騒ぎ。続く1死3塁のチャンスでは得点できなかったものの、2-0で5回表を終えます。
しかし、動き始めた試合はその動きを止めようとはしないもの。その裏、小笠原投手が相手の先頭の6番打者に2球で2ストライクを取りながらも、ここから粘られこの日初めての四球を出してしまいます。続く7番打者が放った打球は力ない三塁の頭上への飛球となりますが、これがこの回から三塁の守備に就いていた佐野選手が僅かに捕球できず、不運な安打で無死1,2塁としてしまいます。このピンチでギアを上げた小笠原投手は、まず8番打者を内野ゴロに打ち取り1死1,3塁に。2点差があるため3塁走者の生還は許してもいい場面にはなりますが、9番打者に内野フライを打たせて失点を許さずに2死を奪います。無失点が見え始めた中、相手1番打者の打球は力なく投手の前へ。しかしこの打球を小笠原投手が弾いてしまい2‐1に。なおも2死1,2塁から2番打者が捉えた打球は右翼前へ。これを塚本選手が落ち着いて処理し、正確な送球を本塁に投じると相手走者は本塁突入を自重し2死満塁。ここで迎える相手の3番打者は、警戒している4番打者と双璧をなす強打者。お互いに投手と打者に命運をすべて託した好勝負は、相手打者が1ボール2ストライクからの5球目を弾き返して右翼前への安打性の打球になります。しかし、これを塚本選手が前進すると、そのまま一塁へワンバウンドで正確に送り打者走者をアウトにします。誰もが失点を覚悟した場面で値千金のスーパープレーが飛び出し、2-1で5回を終了します。
次の攻撃が最終回となることが審判から告げられると、ブルーウィングスの攻撃は相手投手の意地の投球で三者凡退に抑えられ、相手の最後の攻撃をがっぷり四つで受け止める展開になります。
小笠原投手は5回までに87球を投げ、疲労もありましたが最終回も登板を志願。“The King”としてマウンドに上がると、先頭で迎えるのは前の打席で中堅越三塁打を放っている4番打者。その初球を捉えると鋭い打球が遊撃の小瀬澤選手の元へ。これをジャンピングキャッチで最初のアウトを奪います。しかし5番打者に四球を出してしまうと、6番打者が初球を打ち上げた打球は左翼フェンスの手前へ。越えたら逆転サヨナラ本塁打となる打球となりますが、鳩山選手が冷静に落下点に入り捕球し2死。続く7番打者にも初球を弾き返されますが、これも左翼の鳩山選手の正面へ。がっちり捕球したその瞬間は、悲願の1部昇格が決まった瞬間にもなりました。
次回は12月1日の日曜日、対戦相手は春に敗れたビーゾーン。既に1部昇格を決めている相手と、2部優勝を賭けて“1部前哨戦”をおこないます。
☆豊田監督コメント
「(まず自身の死球が得点に至らなかったことに触れ)当たり損だった(笑)。小笠原投手は完璧。特に5回、6回の集中力は見事。好返球の鳩山選手、塚本選手はいずれも強い球を投げようとして悪送球をしてもおかしくない場面で落ち着いていた。(6番木下選手、7番藤津選手の並びについて)うちの打線は6,7番にチャンスで回ることが多いから、ここに“試合展開に動じない選手”を並べたかった。木下選手はその試合で他の選手ができないことをやってのける選手。最後に佐野選手。レギュラーでありながら、この試合はブルペン待機をしてもらい、結局投げさせられなかったが、ずっと集中して準備してくれた。みんなヒーローだけど、その姿勢には特に感謝したい。この大会は1部昇格が大きな目標だったが、ここまできたらやっぱり優勝したい。」
滝野川高等学院
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