元不登校が語る、不登校のその後

query_builder 2021/06/09
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-学校教育の意味、学力低下問題、不登校の現実について-


滝野川高等学院教務 足名笙花

  • はじめに 
  • 文部科学省の実態調査から見る不登校の現実と不登校のその後
  • 単なる勉強だけじゃない! 学校教育が担う多様な「学力」
  • フリースクールなどのサードプレイスが担うべき責務
  • おわりに

はじめに

こんにちは。

今回もお読みいただきありがとうございます。足名です。

今回は少しシビアなタイトルでブログを始めさせていただきます。

私は現在大学院で、不登校の実践研究を行なっています。

このため大学院内で不登校の現実に関する現状について説明すると、

必ずと言っていいほど

「学校に行く必要ってありますか?」

「学力って必要ですか?」

「今は多様な選択や生き方が・・・」とおっしゃる方がおられます。

実際SNS上や不登校を取り扱ったテレビ番組でもそのような意見はたびたび聞かれます。大切な質問ですし、必要な視点ではあるのですが、質問者多くは、現実に起きている不登校のその先の事例に関するデータについて認識していません。

私は学校第一主義ではありませんし、不登校当事者の選ぶ道を支援する立場です。

しかしながら自身が不登校の多い通信制高校出身者であること、現在不登校支援を行なっている立場からすると、本当にどうしようもない問題が山積みなのは事実です。

このため今回のブログでは不登校に関する実際のデータをもとに、不登校の現実、不登校と学力の関係性、学校教育が担っている力、不登校のその後についてお話ししていきたいと思います。

文部科学省の実態調査から見る現実と不登校の将来

‐「学校に行かなくていいよ」が何を指すのか ‐

中学校卒業後、高校卒業後、その先、といった「不登校のその後」に関する研究は、依然社会的に進んでいません。文部科学省の最新調査でさえ、2012年という9年前の調査結果です。

しかしながら文科省の研究結果を見ると、なぜ不登校の追跡調査が困難か、理解することが出来ます。

以下のデータは、平成18年度(2006年)に中学3年生だった生徒に対して、6年後の平成24年(2012年)に追跡調査を行なった結果です。調査結果が明確に公表されたのは平成26年(2014年)となります。

「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版):文部科学省 (mext.go.jp)

この研究結果を見ると、2006年に中学3年生だった不登校の子どもたち39,225人中、 1,604人しか回答していない、つまりたった4%の回答率でアンケート結果を集計していることが分かります。

ここから、当時中学3年生だった残りの96%の生徒には、回答が得られないもしくは追跡が出来なかったということが分かり、残りの4%の回答によって、この報告書が作成されていることが分かります。

「こんな調査で何が分かるのだろう」と、多くの方は思われると思います。

そしてこのような回答率であるからこそ、文科省ですら不登校の追跡調査に困難を感じ、継続的な調査を行うことができていないことが分かります。

なおたった4%の回答者によって作成された報告書であるにも関わらず、この調査結果は悲惨な結果に終わっています。

この結果に関しては産経新聞の以下の記事を見るとよく理解できます。

【文科省不登校調査】中学時代の経験者の約4割が「後悔」 肯定的評価は約1割 いずれも生の声は切実な叫び(1/8ページ) – 産経ニュース (sankei.com)

タイトルにも書かれているように、回答があった、たった4%の人々の調査結果でさえ、中学時代の不登校経験者の4割が「後悔」

不登校に対する肯定評価は1割となります。

もし回答が得られなかった96%の人々が回答していたらどうなっていたのでしょうか。考えるととても不安な気持ちとなります。

以下は 「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版):文部科学省 (mext.go.jp) をもとに作成した統計結果です。

2021年現在、不登校の高校進学率と不登校の退学率は平成18年度の調査が最新情報となり、それ以降の情報は存在しません。このため情報としては古いものとなりますが、高校中退率に関しては、決して見逃してはならない数値だと思います。

 なお過去に不登校だった生徒の20歳現在までの進路では、

就業のみが約3割

就業も就学もしていない人が約2割と、

中学卒業後、就学していない生徒が5割を超えています。

これは小学校や中学校で不登校となった場合、その先の進路で、大きな障壁に阻まれることを示しています。

高校に進学できなかった。高校に進学したものの不登校になった。留年、休学、退学してしまった。通信制高校を卒業したものの、その後就職できず、家に引きこもってしまった。…このような未来が、上のグラフから読み取ることが出来ます。

 以下のデータを見ると過去に不登校だった生徒の20歳現在の進路を知ることが出来ます。

大学短大高専進学率はたった2割

高校に在籍している人が1割。

パートアルバイトは3割

家事手伝い・その他は合わせて1割

このデータを見ると、現在不登校の子どもたちに、「休んでいいよ」「勉強しなくていいよ」「学校に行かなくていいよ」とは言いづらい現状を理解することが出来るのではないでしょうか?

そして大手通信制高校やフリースクールがパンフレットや広告で謳っている「進学率」や「高校卒業率」、キラキラした学生生活、学習支援は、不登校のごくごく一部の例であり、不登校の現実を示していないことが理解できるのではないでしょうか?

単なる勉強だけじゃない! 
学校教育が担う多様な「学力」

私は冒頭でも話したように、学校第一主義者ではありませんし、「学校が辛い」「学校に行きたくない」という子どもたちを無理に学校に行かせるようなことはしません。

しかし子どもたちの未来を考えるとき、私は以上のデータが頭をよぎります。

「いつか子どもたちが不登校だった小学校中学校時代の自分を恨んだらどうしよう」

「不登校だったことを後悔する人生になったらどうしよう」

「今の苦しみ悲しみを未来でも抱えていたらどうしよう」

私自身は中学時代不登校となり、あらゆる面でどん底を味わいましたが、高校時代に出会った仲間や恩師の支援によって、徐々に前向きになり、周りの高校生に負けないくらい勉強や部活に打ち込み、何とか大学進学を果たしました。

しかし結局は私のような進路を歩む、元不登校が少ないのは事実なのです。

このため私は、現在働く滝野川高等学院で不登校の小学生や中学生と関わるとき、

決して「~しなくていいよ」といった言葉がけはしないようにしています。

今は学校に行けないかもしれない。今は学校に行かないかもしれない。でも数か月先の未来では違う選択を行なっているかもしれない子どもたちに、その先の未来で、子どもたちが行きたいところ、やりたいことが出来るように、今できることは積極的にやってもらうようにしています。

不登校となり学校に行くことが出来ない子どもたちがいつか出ていく社会は、学校に行っていた人々と同じ社会です。

学校教育が担う学力とは、決して勉強をする力、座学の教養だけではありません。

記憶力・体力・対応力・持続力・柔軟性・コミュニケーション力・協調性・決断力…

数えるときりがないほど、学校教育が担う学力とは広く深いものです。

これをホームスクールやオンライン教育、塾、フリースクールで補えるのか??

私は難しいと思います。

そして不登校が長く続けば続くほど、学校教育を受ける子どもたちと様々点で遅れや違いが生まれてくることは避けられない事実なのです。

不登校になったことに合わせて、様々な力が養えないということはあってはならないことなのですが、実際不登校に付随して子どもたちの「出来る」という経験は減少していき、進学すること、社会に出ることは大きな壁となります。

フリースクールなどのサードプレイスが担うべき責務

 しかしながらフリースクールは学校教育の担う「学力」を、新たな側面から担い、子どもたちにアプローチできる場であるとも私は考えています。

そしてそのためには、現在日本に点在するフリースクールは、今以上に明確な方針に伴った、目に見える成果を出す活動を行う必要があると思います。

目に見える成果とは決して「学校復帰」や「進学率」を上げることではありません。

単なる「居場所」(サードプレイス)にとどまらない、居場所。

子どもたちの「生きる力」「自立していく力」を養い、

子どもの未来における選択の可能性を広げる支援を行うということです。

フリースクールの責務は、不登校の子どもたちの未来がより明るく、そして本人が望む人生にしていくためにサポートしていくことです。

子どもたちの「出来る」を増やし、自信を養う場所。

子どもたちに前向きな未来を見せる場所。

これが本来のフリースクールのあるべき姿です。

フリースクールが単なる居場所に陥り、子どもたちの大切な時間を奪う場所になってはなりません。

フリースクールが子どもたちの未来の障害となっては絶対にならないのです。

おわりに

‐データに縛られない人生。未来は絶対変えられる。‐

私は現在大学院にて、フリースクールをはじめとした不登校の子どものための居場所の在り方に関する研究を行なっています。

不登校が、子どもの将来を左右しない社会の実現には、フリースクールの活動がカギになると考えています。

今回の話は大変シビアなもので、読者の方の中には目を覆いたくなるような方もおられたかと思います。しかし決して目を背けないでください。

私は保護者の方の意識、

子どもの「頑張りたい」「変わりたい」という少しの勇気と気持ちがあれば、

未来は変えられると思っています。

私は中学時代ほとんど学校に通うことが出来ませんでした。病院に入院したこともありますし、家から一歩も出られない日々も過ごしました。勉強は大嫌いでしたし、頭も良くありません。決して特別な子どもではなかったのです。

しかし「変わりたい」という私の気持ちが今の自分を作りました。

読者の方にもその気持ちはきっとあるはずです。諦めなければ未来は明るいです。

私が保障します。前を向いて一歩一歩歩んでいきましょう。

今回もお読みいただきありがとうございました°˖✧

いいね、コメント、いつでもお待ちしています。

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