フリースクールの出席認定について

query_builder 2022/09/15
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滝野川高等学院教務 足名笙花

こんにちは。いつもの足名です。

今回はフリースクールの所属学校に関わる出席認定の概要と、

具体例として私がスタッフをしているフリースクール滝野川高等学院の

出席認定の流れについてお話ししたいと思います。

2017年に、

「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」

通称「教育機会確保法」が施行され、学校外にある不登校生の居場所についても

初めて国から理解ある方針が立てられました。

またこの法律の施行により、学校外の学び場、

例えばフリースクールなどに通学する不登校の子どもたちの出席を、

所属学校への出席と認める代替の出席認定が、

法的根拠をもとに進められるようになりました。

グラフを見てもらうと、教育機会確保法の施行前も、

フリースクールに通う約半数が、代替出席を認められており、

教育機会確保法が施行された2017年を皮切りに

少しずつですが出席認定そのものも

増加傾向にあることが分かります(2020年度はコロナ禍により減少)。

学校外の施設などで相談や指導を受け、指導要録上出席扱いになる

という仕組みは実は1992年から始まっていた制度でした。

しかし不登校そのものと、不登校の居場所であるフリースクールが

社会的に広まったのがここ最近であるため、

「フリースクールに通うことが所属学校の代替出席になる」という制度自体

まだまだ広まっている制度とはいえません。

またフリースクールや不登校が広まりつつある社会とはいえど、

2020年度現在、不登校生の約2~3%しか

フリースクールのような民間の団体・施設に通っておらず、

それは教育機会確保法が施行される前後もあまり変化はなく、

不登校が20万人に迫る中、是非不登校の子どもたち・若者たちの居場所が

今以上に広まってほしいと切に願うばかりです。

しかし不登校にとって大きな変化をもたらす機会もありました。

それはコロナ禍による、オンライン授業やリモートワークの推進です。

今までもパソコンやタブレットなどを使用した通信機器教材で学習することを

出席認定にする制度はありました。

しかしコロナ禍により学校が一斉休校になり、

会社でもリモートワークが推進されるようになるなど、

社会全体が不登校の子どもたちのような環境におかれたことで、

より不登校の子どもたち若者たちが生きやすい学びやすい環境が整えられました。

(グラフを見てみると、2020年度に一気にITに関わる出席認定が増加しています。)

ここまでが、

フリースクールに関わる出席認定の現状と教育機会確保法との関連の話です。

教育機会確保法が不登校の保護者や学校に広まる中で、

「フリースクールに通えば、所属学校の出席日数がもらえる」

といった情報が広まり、フリースクールの入校相談では、

中学生の保護者から出席認定について聞かれることが増えました。

小学生の場合は不登校になっても出席日数はあまり関係がありませんが、

やはり中学生の場合は高校入試を控え、学校の出席日数や内申点、

学力面で不安を感じ、フリースクールに助けを求めてきているということですね。

都道府県によって高校入試の方式は異なるのですが、

やはり学力が追いついたとしても、出席日数が低い場合は、

入試を受けることすら難しい公立学校・私立学校もあるため、

学校に通うよりはハードルが低いフリースクールに通いながら出席日数を得つつ、

学習面での支援を受けることを、現在のフリースクールは求められています。

しかしながら、

不登校の小中学生の2~3%しかフリースクールに通っていないことから、

フリースクールや学校の代替教育機関となるオルタナティブスクールが全国的に、

特に都市部以外において少ないことが分かります。

多くの保護者や不登校の当事者たちが「出席認定」「出席カウント」を

気にしているという現状がある中、

今後はもっと地方においてもフリースクールをはじめとした

オルタナティブスクールが増えていってほしいですね。

では滝野川高等学院では、どのように出席認定を行なっているのでしょうか。

結論から申し上げますと、この出席認定というものは

フリースクール単独で決めることが出来るものではありません。

児童・生徒の所属する学校の校長や担任、学年主任と、フリースクール側が

何度も話し合いを重ね「何をどのようにしたら出席と認めるか」の協議を行ない、

認められたらフリースクールに通うことで出席と認められるようになります。

また児童・生徒本人が「行なうこと」だけでなく、

フリースクール側も出席簿の管理や日々の記録を行ない、

月末などに学校側に提出することが求められることが多いです。

実際私たちのフリースクールも同様の方法で、

小学生7名、中学生4名の出席を過去に認められています。

(中学生の場合、今後、私立高校や通信制高校、チャレンジ校などに

進学することが決まっている生徒は申請しないことも多いです。)

もちろん本人や保護者が「出席認定」を求めていない場合もありますし、

学校によってはすぐに代替出席を認めてくれるところもあれば、

フリースクールの知名度や実績を見て、出席認定を認めるところもあれば、

出席認定は現状、教育委員会ではなく各学校の校長裁量のため、

頑なに出席を認めない学校もあります。

このような問題は教育機会確保法にも触れる問題であるため、

現在では、保護者や本人の意思によって、

教育委員会への申し立てを行なうことも出来ますが、

「各学校長の裁量による」という現行の「出席認定」の方法

そのものの改定を多くの方が求めています。

このような背景があるため、フリースクールに入校相談に来られた際に、

私たちがまず申し上げることは

「必ずしも出席認定を行なうことが出来るかは分かりません」ということです。

もちろんこちらも最善を尽くしますが、フリースクールは、

学校の下位にも上位にも位置しない組織であるため、

出席認定ありきで入校されてしまうと、

私たちの教育方針や指導の在り方と相違が生まれてしまうこともあるため、

お勧めはしていません。

しかし文部科学省のデータにおいても滝野川における過去の出席認定を見ても、

実際に出席認定が行われている実数は多いのが現状ですので、

あまり心配することでもないことが分かります。

では「出席認定」が認められたあと、本フリースクールでは

どのような手順を踏み、出席認定に至ることができるのでしょうか。

ステップは主に5つです。

  1. まずは本人がフリースクールに来る。(週5日来る必要はありません。)
  2. 勉強を中心とした生活を送る。(スポーツや読書などは積極的に。)
  3. 児童・生徒のポートフォリオ(日々の記録)を作成し、蓄積。
  4. 月末にExcelを使用し、個人の1か月のデータを集計。
  5. 集計したデータを印刷し、所属学校へ発送。→学校側が承認。

・・・という形です。

出席認定についてのみ申し上げると、

学校に代替出席を認めてもらうためには、

勉強中心の生活を送る必要があります。

ただ滝野川高等学院の場合は、学校復帰・進学・社会復帰をした際に、

遅れが出ないようにすること、

本人が勉強が理由で不登校に戻らないようにすること、

自分がやりたいことが見つかった時に学力を理由に諦めないようにすることを、

支援のモットーの1つと考えているため、

学校の求めるものに関わらず、支援の一環に、学習支援や苦手対策があるため、

出席認定のために特別勉強しなくてはならない、といったことはありません。

ここまで、教育機会確保法と出席認定の関わりや、出席認定の概要、

そして具体的にどのような過程を経て出席認定に至るのかを、説明してきました。

滝野川高等学院と出席認定の具体例については、

その他のフリースクールでは扱いが異なることもあるかと思いますので、

一事例としてこういう方法を取っているフリースクールもあるという風な認識で

もっていただけると幸いです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました°˖✧



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滝野川高等学院

住所:東京都北区浮間1丁目1−6 KMP北赤羽駅前ビル3F

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