学校に行かないことで起きること②不登校を取り巻く環境と不登校の7段階
滝野川高等学院教務 足名笙花
はじめに
今回は前回のブログ「学校に行かないことで起こること①」の続きのブログです。
前回からの流れを知りたい方は是非
「学校に行かないことで起こること①‐不登校の現実と実態‐」を
お読みいただいてから今回のブログをご覧ください☆
- 【目次】〈前回〉
- はじめに
- 「学校に行かない」という選択を行うことによって起こりうるメリット
- 「学校に行かない」という選択を行うことによって起こりうるデメリット
- 〈今回〉
- 不登校を取り巻く現状 ‐教育機会確保法とフリースクール‐
- 保護者の方必見‼まずは知っておこう‼ ‐不登校の7段階‐
- おわりに
不登校を取り巻く現状
‐教育機会確保法とフリースクール‐
現在、不登校の権利を守る法律の1つに、2017年に施行された
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」
(教育機会確保法)
という法があるのですが、この法律では、学校に通えない子どたちの学ぶ権利を十分に保障するものとはいえません。
実際、文部科学省や各教育委員会が運営している教育支援センターや適応指導教室は利用料がかかりませんが、
この法律ができてからも、フリースクールに通う児童・生徒に対する国からの援助金は依然無いため、民間のフリースクールに通学するためには、1人あたり大体月3万~ほどの利用料がかかり、家庭の負担となっています。
またフリースクールへの援助金も無いことから、経営難に陥り、潰れてしまうフリースクールも後を絶たず、子どもたちの居場所の確保にはまだまだ課題が残ります。
なおフリースクールに対する援助金が無いということはつまり、
子どもがフリースクールから学校復帰を果たすこと
=経営難
に直結するため、
子どもの意志を尊重する居場所であるはずのフリースクールが、子どもが「学校に行きたい」という意志を尊重できない場所になっている、もしくはなってしまう環境でもあるのです。
このため、近年「不登校ビジネス」という言葉も横行していますが、子どもがフリースクールやそれに類似した施設に入所することで生まれる金銭によって運営が成り立っている施設においては、子どもが不登校であるからこそ金銭が生じるため、
子どもや保護者の意志に関わらず、
学校に通うようになること=お金にならない。悪。
というような事態にもなりつつあります。
しかしながら多くのフリースクールやそれに類似する施設は、上記にも示したように、子どものための安全で安心な居場所づくりのために、苦心しながらも運営しながら経営を維持している人々ばかりですので、
フリースクール=悪、フリースクール=不登校ビジネス
では無いことは皆さんに留意していただきたいです。
なおフリースクールには金銭面以外にも課題が山積みです。
その1つが「出席扱い」問題です。
それは何なのか?というと、適応指導教室や教育支援センターに通うと小学校や中学校に通学しているとみなされ、出席とみなされますが、民間のフリースクールの場合、「出席」とみなされるまでに、様々なハードルを乗り越える必要があるため、
現在日本国内には約500校程度の民間フリースクールがあり、それらには約6000人もの子どもたちが通学しているとされていますが、その中で実際にフリースクールに通うことで小学校や中学校への出席とみなされている子どもたちはたった5%未満です。
小学生の場合は出席はさほど重要視される機会はありませんが、中学生の場合は現状、出席日数が高校進学の際にダイレクトに関係してきます。
以上のことから、不登校の子どもたちの居場所や学びの場の拡充のためには、
法の改正だけでなく、制度や保障の充実も求められます。
それにしても民間のフリースクールの数はまだまだ少ないですね。
今後全国的に広がることを期待していますし、
自分自身もこれから働きかけていきたいと思っている事項でもあります。
保護者の方必見‼まずは知っておこう‼
‐不登校の7段階‐
ここまで、「学校に行かなくなる事で起きること」のメリット・デメリットを
様々な視点で、実際のデータを含めながら紹介していきました。
本当に多種多様なメリット・デメリットがあったかと思いますが、
実は、不登校には大まかな流れ、段階があるとされています。
今回は最後にこの「不登校の7段階」を紹介して、
今回のブログは終わりにしたいと思います。
皆さんはこのようなグラフを見たことはあるでしょうか?
このグラフは「不登校の7段階」といわれ、
子どもが不登校予備軍の頃から、
完全に不登校になり、
そして社会復帰するまでの大まかな流れについて説明しているグラフになります。
研究者やサイトによっては〇〇段階と、段階が異なることもありますが、
大まかな流れは大体同じです。
この「不登校の7段階」について知った際、私はとても驚きました。
なぜなら私自身の不登校は、そのまんまこの図を使って説明できるほど、
この7段階の流れと同じものだったからです。
そのため、このブログの冒頭、「 「学校に行かない」という選択を行うことによって起こりうるメリット 」にて話を行なった休息の重要性や、保護者との関係の変化というものは、個人差があるものの、時間が経つにつれて変化していき、流れに抗うようなことを行なわない限りは、子どもたちは勝手に社会復帰、学校復帰、進学、就職といった流れに戻ることが出来ることをこのグラフは示しています。
個人差があるというように、ある人は半年~1年の場合もあれば、私の場合は中学1年生~3年生までの3年間かかったように、期間に差があるため、本人も保護者の方も、支援者の方も時には焦ってしまうこともあるかとは思いますが、
本人の気持ちや意思を尊重し、子どもが気持ちよく社会生活に戻ることが出来るように、見守っていきたいですね。
おわりに
今回は「学校に行かないことで起こること」と題して、
当事者、支援者、そして研究者という多様な立場から、
「学校に行かない」ことで起こりうるメリット・デメリット
そして、不登校やフリースクールを取り巻く現状などについて書いていきました。
これらの情報や文章については、様々な受け取り方や考え方もあると思いますので、
1つの意見や情報としてご参考ください。
そして私自身も元不登校で、様々な苦難を乗り越えてきましたが、
綺麗ごとでも何でもなく、等身大の言葉で、
「絶対大丈夫」
「未来は明るい」
そう思っています。
今、本当に辛くて苦しい日々を送っている子どもたち、そして親御さんはたくさんいます。藁にもすがる思いで、不登校に関する情報を集めている方々がいることも知っています。私もそうでした。
私は今、フリースクールでスタッフをしながら、ブログという形で情報発信をしていますが、いつかは多くの不登校のお子さんや親御さんの前で自分の経験や、今自分がやっている不登校の居場所研究についてお話したいです。
今はまだブログのため、双方向型の意見交換を行うことはあまり出来ませんが、
コメント、いいね、いつでもお待ちしております。
今回もお読みいただきありがとうございました°˖✧
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住所:東京都北区浮間1丁目1−6 KMP北赤羽駅前ビル3F
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