「通信制高校制度」改革の内容と、元通信制高校生の考え

query_builder 2021/10/07
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滝野川高等学院教務 足名笙花

はじめに

みなさんこんにちは。いつもの足名です。

今日はちょうど数日前に、不登校界隈をザワつかせた

文部科学省による「通信制高校の抜本改革」について、

元不登校生・元通信制高校生の立場からお話ししたいと思います。

  • はじめに
  • 通信制高校の抜本改革の内容
  • 通信制高校改革のメリット・デメリット
  • 通信制高校改革に対する元不登校・元通信制高校生の考え
  • 私の考えと不登校界隈の声
  • おわりに

通信制高校の抜本改革の内容

みなさんは文部科学省が現在、

通信制高校の制度を改革しようとしていることはご存じでしょうか?

文部科学省は「働きながら通う高校」を前提としていた通信制高校の在り方が近年変化し、現在では「不登校経験者のための高校」と、状況が変化している通信制高校の制度を抜本的に見直す方針を2021年9月末に決めました。

改革の内容としては、「対面授業の義務付け」を想定しており、近年の通信制高校内の不祥事続発(スクーリングの不正・進学実績の粉飾など)を受け、国の監督強化も論点としています。また通信制高校の制度に関わる学校教育法や省令も改正し、2年後の2023年に新制度移行を目指しています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/32f7b2c5f44a74da26c82e3ab36b89608fba7ef4

通信制高校改革のメリット・デメリット

現在、通信制に在籍する生徒は約22万人に上り、小中学生の不登校数約18万人連動して増加している傾向といえます。また半数が小中学校で不登校だったとの調査結果も実際にあり、従来の通信制高校の在り方であった「働きながら高校卒業資格を取得する高等学校」という前提が崩れている現状の通信制高校に対して、小学校や中学校で不登校となり勉強の遅れがある通信制高校生に対してレポート作成などの自宅学習へのサポートが必要だとの意見が近年浮上していました。

この報道を受けて、SNSなどでは、「通信制高校だから入学した」「入学させた」という現役通信制高校生やその保護者が、新制度への移行について反発しているのを目にしました。

「通信制じゃないと通えないから通信制にしたのに・・・」

「対面授業の義務化があるなら、もはや通信制じゃないじゃない」

確かにその声は、もっともな反発でもあります。

しかしながら自分自身の未来、そして子どもの未来を考えたとき、

この新制度への変更は決して悪いことばかりではありません。

もちろんまだまだ全容が見えていないため、私自身も確かなことは言えませんが、現状の通信制高校が抱えている課題は多々あり、改革する必要のある事柄は沢山あります。

例えば、「レポート提出」「年に数回のスクーリング」に対して、大きな壁を感じている通信制高校生はたくさんいます。

通信制高校生は、主にオンライン授業を聞いたり、指定された教科書や本を読んだりしたうえで、レポートの作成を行います。

しかしながらこの

「①オンライン授業を聞く」

「②教科書を読む」

「③レポートを書く」

「④試験を受ける」

「⑤スクーリングに行く」

「⑥これらを自主的、かつ計画的に行う」

ということが難しく、通信制高校のサポート校に通いレポートの作成を手伝ってもらったり、家から出られない生徒に至っては、保護者が課題を肩代わりしていたりするケースもしばしばあります。

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働きながら遠隔で高校卒業資格を取得する人を対象にしたのが通信制高校の本来の在り方であるため、小学校や中学校で不登校となり勉強に遅れが生じたり、生活リズムが著しく不安定になっていたり、外に出ることに対して強い恐怖心を抱いていたりして通信制高校に通っている生徒の場合、上記に記したような6つの事柄のどこかで躓き、通信制高校であっても、休学・退学・転学・留年といった事態になりかねません。

また通信制高校や定時制高校の場合「高等学校就学支援金」最大48か月(4年間分)支給されますが、休学・退学・転学・留年のいずれかとなった場合、休学している間も、退学して別の学校を探している間も、就学支援金の対象期間とみなされ、48か月を過ぎると、高校の学費は全て保護者負担という形になってしまいます。

また「通信制高校+サポート校」に通っている場合、サポート校の利用料に対しては家庭側にもサポート校側にも国からの援助金はなく、家庭の全額負担のため、保護者視点で新制度を鑑みると、対面授業が義務化されることによって、手厚いサポートを受けることが可能となり、サポート校に通わなくとも、3年間で卒業することが容易となる可能性も秘めています。

しかしながら、「現在家から出ることが出来ない」「家からかなり遠い通信制高校に通っている」という生徒に対してはどのような対応を取るのか?ということは、文部科学省にとっても、各通信制高校にとっても、大きな課題になります。

そして「対面授業の義務化」という事柄に固執せず、オンライン面談の積極的な導入、家庭訪問の強化、学校に来ることが出来ない場合も進級が出来るように、補講やオンラインスクーリングを導入するなどの柔軟な対応も今後求められていきます。

ただし不登校も引きこもりも長引けば長引くほど、学校復帰・社会復帰が難しくなるのも事実。通信制高校でほとんど学校に通わなくとも、いつかは自立し社会に出ていかなければならないことを考えると、「対面授業の義務化」が行われるとしても、普通科高校のように毎日通うようになるわけではないので、この制度改革を機に外に出る機会を得て、少しずつ社会や学校、人との接点を増やしていくこともアリかもしれませんね。

下の図に現行の通信制高校制度と、2023年以降の制度の比較図を作成したので、良かったら参考にしてください☆

通信制高校改革に対する元不登校・元通信制高校生の考え

 以上の内容を見て、皆さんは通信制高校の制度改革に対して、どのような思いや考えを抱いたでしょうか?

私はこの報道を見た瞬間、「そうなって当然だろうなぁ」とただ淡々を思いました。

なぜなら私自身約5年前に、不登校経験者の多い通信制高校全日課程を卒業した身ではありますが、当時から通信制高校の在り方に対してはいくつもの疑問と課題を感じていたからです。

具体的には私の場合、月曜日~金曜日まで毎日通う「全日型」の通信制高校生であったものの、入学時に30名弱いた生徒の内、卒業までに残ったのは約20名であり、いなくなった10数名の内半分は毎日学校に通うことが出来ず、不登校生の多い週1回のコースに移動した人、そもそも週1回のコースにも通えず、休学・留年状態の人。もう半分はいわゆるヤンキー系の生徒のために全日型から主に働いている人が通う週1のコースに移動、そんな状態を目の当たりにしたからでした。

もちろん週1のコースにも通えない不登校傾向の強い同級生たちの卒業は1年以上遅れていきましたし、その後の進路に関しては全く考えられる状況にはありませんでした。

私はそんな状況を見て、「学校に通えない気持ちは分かるけれど、みんなこれからどうしていくんだろう」「週1回の授業も来ることができなかったらどうするんだろう」「みんなの進路ってどうなるんだろう」という漠然とした同級生に対する想いを抱いていました。

また現状の通信制高校は働いている生徒ではなく、不登校経験者のための学校になりつつあるため、1つ1つの通信制高校の内部の現状は不透明かつ閉鎖的で、社会に正確な情報を開示していないともいえます。

実際私が通学していた高校も、授業やテストに参加できなかった生徒や、そもそも学校に来ることが出来ない生徒、遅刻・早退がかなり多い生徒のために、学校の休日を含めかなり多くの日を補講日に設定し授業単位を確保しており、「そこまでしてもいいの?」「あれで単位がもらえるなら、その方が楽じゃない?」といった意見も当時生徒の中では出ていました。

そして何より私の母校であるA高校は、進学実績と就職実績を正確に示していません。どう計算しても人数が合わないような高い進学率と就職率を掲載しています。明らかに嘘です。そしてそれらの改ざん情報は現在も学校のホームページやパンフレットに掲載されています。

私が抱いていたような疑問や実際に目の当たりにした問題は、その他の通信制高校でも行われている問題です。最近大手通信制高校が進学実績の粉飾を行なったというニュースが話題になり、数年前には地方の通信制高校がスクーリングの内容を改ざんしていたといった問題がニュースなどで大きく取り上げられましたが、あれらの通信制高校の問題は氷山の一角に他なりません。

それらの通信制高校の問題や課題に関しては文科省がいうように監視強化をしていく必要がありますし、改革の大きな目玉である「対面授業の義務化」に関しては、通信制高校に通う不登校および引きこもりの生徒が社会に出る機会を増やすという目的と考えれば、決して悪いことばかりではありません。

内閣府の調査(2018年)によると、引きこもりになったキッカケに、小学校、中学校、高校での不登校が原因の方が一定数存在し、主な引きこもりになったキッカケには、人間関係が上手くいかないこと、職場でなじめなかったことなどが大きな原因となっています。

https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01gaiyou/s0_2.html

内閣府の調査から分かることは、不登校や不登校ではないということが関係しているのではなく、どんな人にも人間関係構築力や社会生活への対応力が求められることです。

このため、通信制高校や通信制大学に進学し、その後社会に出ていく人々も一定数はいるかとは思いますが、「通信制」という家の外にあまり出なくても単位が取得できる学校に行くことで、社会にどんどん出づらくなることは事実であり、コミュニケーション力や対人関係力を育成していくためにもある程度外に出て活動していくことは、社会に出た後のことを考えても良い行動だと思われます。

おわりに

そのため通信制高校の改革については、あまり悲観的に反発的にならずに、変化を受け入れ、「けっして改革は悪いことじゃないんだ‼」という意識で、通信制高校に現在通っている方も、そしてその保護者の方も、そしてこれから通信制高校を考えている中学生やその保護者の方も思っていてほしいです。

今回のブログはいかがだったでしょうか?

「通信制高校制度改革」に対して、

少し新たな一面を感じられたのではないでしょうか?

私もこの報道を受けたときは、多くの通信制高校生やその保護者の方が混乱するのではないかと思いましたし、事実としてTwitterやインターネット上のサイトなどでは、この制度改革に対して悲観的なイメージを抱かれている方が多いように感じました。

しかしながら決して悪いことばかりではない。国や文部科学省もただ闇雲に制度改革を行なおうとしているのではなく、実際の問題を鑑みたうえで、通信制高校に通学する子どもたちのことを考えているということも、1つ認識できたのではないでしょうか?

私自身もまだまだこの「通信制高校制度改革」については、分からない点も多いため、改革内容が明確化してきた頃に、再びブログにもしたためたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました‼

コメントやいいねなどお待ちしています°˖✧

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