不登校数約20万人についてフリースクール職員が思うこと

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機関誌『居場所研究』
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滝野川高等学院 足名笙花

こんにちは。いつもの足名です。

今回は2021年10月13日に発表された「昨年度2020年度の小中学生の不登校数」と、「不登校の子どもたちの居場所や学び場の変化」について、不登校の子どもたちを受け入れるフリースクール職員の立場から、考えていることを書きたいと思います。

  • 不登校数20万人
  • 不登校の子どもたちの居場所の変容‐ホームスクール・オンライン授業の登場‐
  • 学校とフリースクールの連携の重要性-すべてはこどもたちのために-
  • おわりに

不登校数20万人

先日文部科学省が明かした昨年度の「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、2012年を皮切りに不登校の児童生徒は8年連続で増加しており、2020年度の集計結果によると、196,127人もの不登校の児童生徒がいることが分かりました。

じつに約20万人の不登校数。。

文部科学省の定義によると、不登校とは、

「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために 年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的理由による者を除いたもの」のため、

「不登校」とは集計されないものの、登校に波があり、欠席は30日未満であっても、学校に行きづらさを感じて、学校に行ったり行かなかったりを繰り返している小学生・中学生も増えているように思います。

また私自身フリースクールで働いているため肌で感じることとしては、最近は不登校の小学生、特に低学年の児童とその保護者が学校以外の学び場であるフリースクールの中で子どもの特性やスタイルに合うスクールを探し求めているように見受けられます。

不登校の子どもたちの居場所の変容

‐ホームスクール・オンライン授業の登場‐

不登校増加の要因は様々あるかと思われますが、昨年度から世界中に大きな混乱をもたらした「コロナウイルス」による、学校閉鎖やオンライン授業の導入といった事柄は、実際に小学生や中学生の学校生活に大きな影響をもたらしました。

そしてオンライン授業が導入されたことによって、オンライン授業中心の生活を送るようになった児童・生徒も一定数存在するようになりました。

平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果

以上の2つの資料は平成30年度および令和元年度の不登校の児童生徒が自宅において、ITなどを活用して出席扱いになった数を集計したものです。この頃はまだコロナウイルスは発生していないため「コロナウイルスと不登校」の因果関係はないのですが、着実に自宅でのITなどを活用して出席扱いになった児童・生徒が増えています。

これがコロナウイルスが流行した2020年度の調査になると、

一気にITなどを活用して出席扱いとなった児童・生徒が増加します。

以下の図をご覧ください。

令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果 

「IT」(Information Technology)という用語が

「ICT」(Information and Communication Technology)

という用語に変更されていますが、内容には大きな変更はありません。

コロナウイルスが日本中に蔓延したことによって、学校閉鎖や一斉休講が行われ、「GIGAスクール構想」https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htmもあいまって、小学校や中学校などの義務教育機関であっても、タブレットが配られ、オンライン授業やオンラインを活用した学習などが急速に行われ始めました。

このような影響からか、令和元年度に出席カウントが認められた608人は、令和2年度には、2626人まで増加。1年で約4.3倍も自宅でのICTを活用して出席が認められた児童・生徒が増加しました。

この感じだと、今年度(令和3年度)の調査結果が出る来年の10月の資料では、昨年度以上に自宅でのICTを活用して出席扱いになった児童・生徒が増えそうですね。

学校とフリースクールの連携の重要性

-すべては子どもたちのために-

不登校数が約20万人になった今、不登校の児童生徒を取り巻く環境である学校とフリースクールは今まで以上に連携を取らなければならない時期に差し掛かっています。

例えば、フリースクールに通学した回数を所属学校の出席カウントにする場合、所属する自治体によって、出席カウントになるハードルに違いがあり、フリースクール側はテンプレートがない状態で、フリースクールに所属する児童・生徒が在籍する小学校や中学校の担任や校長先生と電話をしたり直接面談をしたりしながら、出席について話を進めます。

しかしながらたくさんの労力を使い、児童・生徒のポートフォリオを作成しても、学校側の裁量により、出席が認められない学校があるなど、2017年に「教育機会確保法」が施行されたのにも関わらず、不登校の子どもたちに対して厳しい体制を求め続ける学校や自治体も一定数存在します。

不登校数が20万人いる今、「学校至上主義」は崩壊していることを、全ての小学校・中学校が認識してほしいですね。

そして不登校の小中学生の居場所として、確固たる立ち位置を確立しつつあるフリースクールと手を取り合い、情報交換を行ってほしいとともに、

教育機会確保法が施行されても、依然フリースクールには補助金や助成金がない今、国や学校側はフリースクールのもつ役割やその存在の意義を認め、もっと寄り添った政策を立ててほしいです。

おわりに

今回は、不登校の最新データを用いながら、不登校の子どもたちを取り巻く環境の急激な変化について、フリースクール職員の立場から書かせていただきました。

今回もお読みいただきありがとうございました°˖✧

質問やコメントなどは随時受け付けていますので、よろしくお願いいたします‼

ではまた‼


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滝野川高等学院

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